スマトラ沖の地震・津波、日本列島では大雪、ちょっとさかのぼると台風や大雨。かって勤務した新潟県では豪雨の後に地震の追い打ち、そして大雪と自然災害に見まわれている。
これらのことについて、二つのことが思い浮かぶ。この夏、台風など河川氾濫や浸水で生命を奪われた人のほとんどが70歳以上の高齢者であったことである。この中には、身体が思うように動かせない人もあれば、丹精こめて育てた水稲の様子を見に行ったために水の犠牲になった人も多い。このような災害に対して、かっては消防団や水防団の人が河川の堤防を見まわり、危険となれば、いち早く住民に伝えて避難するなど危険回避の行動をとってきた。いま、頼りになる消防団員がとても少なくなっている。さらに、お隣りにどのような人が住んでいるかも知らず、2階建て住宅やマンションがあっても「ちょっと避難させて下さいな」と頼む人もなく、「いつでもおいで下さいな」という関係もだんだん薄れてきている。
もうひとつは、スマトラ沖の地震・津波の映像でも明らかだが、じっと津波を見つめている人の映像をたくさん目にした。しばらく前に、韓国で起きた地下鉄火災事故。台風がやってきて、自分の家が水没しそうなのに、ここは大丈夫だと動こうとしない人。この行動心理を「正常性の偏見」というのだそうだが、「私に限って津波におそわれるはずがない」という思いこみが、われわれ人間には多かれ少なかれあるという。
「正常性の偏見」は、言ってみれば、自分に都合の良いように判断してしまう特性だと思うが、これがなければ、生きていけないのも人間だと思う。
「金光さま」とちょっとお願いするのとしないのでは、先々違うとも教えられた。とにかく「金光さま」という祈りを忘れてはいけない2005年になりそうだ。(入田 央)
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